*白に黒と赤の四角の銘仙の袷の着物 黒の帯 黒地にお家と花畑の銘仙の羽織
旅行から帰って、からっぽの冷蔵庫におみやげのキムチを詰め込んで、着物に着がえて買い物に出た。 夕餉の匂いに交じって、早い町のそこここで沈丁花が匂って、春が来ることを思いださせる。 椿も早々とともった飲み屋の灯りにぼんやり浮かんでいる。
冬が長すぎて、暖かい春を忘れてしまっていた。 そして、あの暑い夏がくるなんて。