June 30, 2004
焼き肉
*黒に芙蓉の銘仙の単の着物
白に赤のラインと雀や竹の絽の帯
暑い日が続くから、気合を入れて火をおこす。
風がふきぬける縁側で汗をかきながら焼き肉。
もっくもっく煙を上げて、通る人を驚かそう。
着物きて、カンテキで焼いてるから
「お肉がなんだか時代錯誤ね」
なんていわれたりして。
June 26, 2004
夏野菜
*黒に朝顔と千鳥の銘仙の単の着物
紫に水色のラインの入った単の帯
弓木野畑からの宅急便はいつも、呪いの人形のようなニンジンだとか、
立派な足のような大根だとか、開けるのが楽しみになるような野菜がつまっているのだけれど、
今回もその期待を裏切らず、すごいのがはいってました。
ズッキーニ。
さあ、何に使おうか。
June 21, 2004
お色直し
*青緑に夏と秋の花の単の着物
黄色に百合の帯
今日の暑さにはまいってしまって、水浴びのあとにはお昼寝をして、
ようやく翳った日の光と夜に向けて、柔らかい着物をだした。
風がぬける銘仙もいいが、すこし暑さが和らいで、でもしっとりと熱気をはらむ空気にはこんな着物がきたくなる。
小さな路地ははやくも夜の気配で、百合の花とそれを映したかのような右袖と帯だけがぼんやりと明るい。
扇子
*黒に水玉で四角の銘仙の単の着物
ペパーミントグリーンのヨットの絽の帯
気に入ったものしか買いたくない。
ありあわせのものを買うなら、なくていい。
いじっぱりな私は、3年間扇子無しで過ごしてきたけれど、
ついに気に入ったのを見つけました。
June 19, 2004
June 18, 2004
June 16, 2004
憂うつな一日
*紫に薔薇と扇のお召し銘仙
黒の絽の薔薇の名古屋帯
朝おきると、家の中がいやに静かで、自分の少しはやい心臓の音がなんだか大きく聞こえる。
なにかがおかしい。
寝ぼけた頭で、定まらぬ違和感をかかえたまま階段をおりる。
すでにひげは出かけた後で、がらんと広い一階にはまだ熱を持たない朝の光がさしこんでいた。
ちゃぶ台の上に、私の刺繍した布がかけてある箱がおいてある。
それを見た瞬間、大きな鼓動がひとつして、こめかみがぴくりと動いた。
あまりに静かな朝。
布を持ち上げると、昨日までうるさく鳴いていた雀が、ころりと寝ている。
真っ黒な瞳はとじてしまって見えない。
ずり落ちてきためがねをかけなおし、その手ですこし揺すってみた。
伸びかけの羽毛が柔らかく私の指の腹をおしかえす。
一人きりの朝に一人きりの死にたちあう。
私はどこかほうけて、涙も出ない。
元のように布をかける。
ただなき声だけが足りない。
June 15, 2004
蚊帳
*紺地に格子水玉の浴衣
白とオレンジの半幅帯
教育実習を終えて東京に戻った。
久しぶりのわが家は少しずつマイナーチェンジをとげていて戸惑う。
玄関先の緑は濃くなっているし、雨水を貯める桶がおかれ、赤い金魚がすらりと通る。
部屋にはいっぱいに蚊帳がつられていて、そのうえ、なきつづける雀のヒナ。
私をおいて一足飛びに夏への準備がすんでしまったようで、少しばかりさみしいけれど、みんなで下駄を鳴らして銭湯に向かえばすっと身に添うこの生活。