ひげぽよん
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エーゲ海の小島でテントぐらしをしたおりのこと。
町から歩いて30分のちぽけな砂浜にはおとずれる人もなく、一週間もすれば聞こえてくるのは波の音と原始の呼び声ばかり。
 3日に一度の買出し。
パンと水と缶詰をもとめて、陽が高くなる前にと早起きして、ちくちくふたりで歩いたあの海岸づたいの細い一本道。
たったひとつの木陰に張った黄色い一人用テント。
熱くやけた真っ白の砂浜と、ひんやり冷たい青すぎる海。
小さなコッヘルひとつでつくるふたりの夕食。世界中のどんなごちそうよりも美味しい卵かけオイルサーディン炊き込み御飯。
どこまでもゆるりとした時間。すぐに背後の山の端に隠れてしまう夕日と、眼前の海をそろそろとやってくる月の光。
日々同じように繰り返される生の営み。 忘れない。



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pooh79@livedoor.com

2002年9月18日
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